とも座 – Puppis(パピス)

 とも座はアルゴ船の船尾を成す星座である.アルゴ船座は巨大すぎる星座だった.そのため20世紀に3分割され,らしんばん座とともに元アルゴ船4星座として知られている.おおいぬ座にいつもお尻を向けられているが,アルゴ船の進行方向はおおいぬ座の方向とは反対方向なので,ふたりがぶつかる心配はない.
 アルゴ船座を分割する前にギリシャ文字を割り振られており,学術的な便宜上それを引き継いだため,とも座の星にはα星がない.α星はりゅうこつ座のカノープスである.ζ星のナオスは青く見える2等星,ρ星のトゥレイスはおよそ5時間周期で明るさが変化する変光星,ξ星のアスミディスケは3等星である.
 とも座にはメシエカタログに何と3つも登録されている.M46とM47は隣接してみえる散開星団で,実際にはM46が5400光年,M47は1600光年と,だいぶ離れている.奥のM46は星が細かく密集して見える一方,手前のM47は星々が明るく目立って見え,二重星団として美しくみえる.また,M93はオレンジ色の星を含む散開星団.さらにやや南に移ると散開星団NGC2451が位置し,これも美しい.
 恒星HD 69830には惑星が3つ見つかっている.そのうちでいちばん外側の惑星には水があるとみられ,しかも液体で存在している可能性が高い.その軌道のやや内側には小惑星帯である塵円盤が見つかっている.また,HD 49798の伴星は白色矮星として全天でもかなりの重量級として知られている.

ちょうこくしつ座 – Sculptor(スカルプター)

 ちょうこくしつ座はろ座の隣,くじら座の南に位置する大きな星座である.18世紀フランスが発祥のロココ様式を代表する星座となっている.当時はバロックからロココへデザインが様変わりする時期で,繊細なロココの装飾には彫刻家の仕事場が必要だった.それで天にも広い場所を割いたのだろう.
 ちょうこくしつ座は何といっても銀河NGC55とNGC253が有名である.NGC55は全天で有数の明るい銀河で,肉眼で見える地域もあるくらい.一方NGC253はセイファート銀河で中心が明るく観測しやすい.これら2つの銀河はフランスから見て高度が低いため,メシエカタログに登録されなかったのが残念.いずれもちょうこくしつ座の境界付近に位置するが幸運にも両取りしている.
 恒星HD 4208には惑星が見つかっている.ハワイのケック天文台で2001年に発見された.太陽に似たスペクトル型を持つ黄色の恒星.太陽に似た過程で成長しているとみられ,惑星が次々と見つかると期待されている.地球に似て水を持つ惑星の存在も仄めかされている.

ろ座 – Fornax(フォーナクス)

 ろ座はエリダヌス座の川岸に逆さに置かれている,18世紀の化学実験用の加熱炉である.当時はラヴォアジエが質量保存の法則を発見し,物質の不滅が広く知られた時期で,科学が希望をもたらす明るく興奮する時代だった.ろ座はそれを記念して星座となった.化学者が実験に失敗しても豊富な水量の川岸でいつでも消火できるように.
 ろ座には明るい恒星はなく,星座の形もはっきりしないので,肉眼で見つけることは難しい.逆に暗いので,望遠鏡で覗くと多数の銀河を見つけることができる.棒渦巻銀河NGC1365や楕円銀河NGC1399は写真で見たことのある方も多い天体.この付近には銀河が密集しており,ろ座銀河団と呼ばれている.
 ろ座銀河団は宇宙の3次元構造においてグレートウォール構造を成しており,この銀河フィラメントにはろ座ウォールの名がついている.また,その背後には何もない空間が控えており,ろ座ボイドと名付けられている.ろ座の名は大規模構造においてしばしば有名である.
 また,レンズ状銀河NGC1316からは珍しいくらい強い電波が放出されており,「ろ座A」の名前でマークされている.ろ座AにはNGC1317も吸い寄せられており,とてつもなく重いブラックホールがあることがわかっている.このブラックホールからその強い電波が出ていて,全天で4番目に強い電波銀河と記録されている.

星座
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